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退去費用の払わなくていいものを解説|払えないケースと対処法

最終更新日:2025.08.22

賃貸物件を退去する際、多くの入居者が気になるのが退去費用です。契約終了後に請求される金額は、時には想定より高額になることもあります。中には「これは払わなくていいのでは?」と思う項目も含まれている場合があります。国土交通省が示すガイドラインや原状回復の基準を理解すれば、どこまでが借主の負担で、どこからが貸主の負担になるのかが明確になります。本記事では、退去費用の仕組みや必要な支払い、払わなくていい項目の具体例、そして請求額が高くなった場合の対処法まで解説します。納得して退去できるよう、知っておくべき知識を整理していきましょう。

目次

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退去費用とは?賃貸物件を退去する際にかかるお金の基本

退去費用とは、賃貸物件を退去する際に発生する原状回復やハウスクリーニング、リフォームなどの費用の総称です。入居時と同じ状態に戻すことを目的とした支払いであり、壁や床の修繕、設備の交換、室内の清掃、電気設備の点検などが含まれます。請求額は物件の状態や契約内容、入居期間、間取りによって異なり、相場より高い金額を提示されるケースもあります。

特に初めて賃貸を借りる人やアパートからマンションへの引っ越しを経験する人にとっては、どの費用が必要で、どの費用が払わなくていいのか判断しにくいものです。まずは退去費用の仕組みを理解し、支払いの必要性や負担範囲をしっかり把握することが重要です。

退去費用が発生するタイミングと流れ

退去費用は、賃貸契約の終了が決まり、退去日が近づいた段階で発生します。一般的には、入居者が部屋を空けた後、管理会社や貸主側が室内の状態を確認する立ち会いを行い、その結果に基づいて費用が算出されます。

この際、壁や床の汚れ、設備の破損、電気スイッチや照明器具の不具合、換気扇や浴室の黒ずみなど、ハウスクリーニングが必要かどうかもチェックされます。修繕や交換が必要と判断された箇所は、原状回復費用として請求されることになります。費用の確定は、立ち会い後に見積書や明細書が提示され、入居者が確認する流れです。

中には敷金から差し引かれるケースもあり、次に入居する人のためのリフォーム費用が一部含まれる場合もあります。

請求される主な項目と金額の相場

退去費用に含まれる項目は多岐にわたります。代表的なものとしては、壁紙やクロスの張り替え、床やフローリングの補修、畳や襖の表替え、エアコンや換気扇のクリーニング、浴室やキッチン、風呂場の清掃、網戸や窓の点検などがあります。

金額は物件の広さや設備の数、損傷の程度によって変動し、1Kや1DKの部屋であれば3万〜6万円程度、2LDK以上では10万円を超えることもあります。さらにペットを飼っていた場合や喫煙していた場合は、臭いの除去や壁紙全面張り替えが必要となり、高額になる傾向があります。

実際に請求額が相場より高いと感じた場合は、複数の業者に見積もり依頼をして比較・考慮することも大切です。

契約書や特約に記載される負担範囲の確認方法

退去費用の負担範囲は、賃貸借契約書や特約条項に明記されています。入居時に交わした契約書には、原状回復の条件や借主が負担すべき項目が具体的に書かれていることが多く、そこを確認することが第一歩です。

特約で「壁紙全面張り替え費用を借主負担とする」など、ガイドラインよりも借主負担が広く設定されているケースもあります。契約書を読み返し、不明点があれば管理会社や不動産会社に問い合わせ、必要なら消費者としての権利を守るため第三者へ相談するのも有効です。

特に、国土交通省ガイドラインと契約書の内容が異なる場合は、どちらが優先されるのかを理解し、納得できる形で退去手続きを進めることが重要です。

国土交通省ガイドラインとは?原状回復の基準と考え方

国土交通省ガイドラインは、賃貸物件を退去する際に発生する原状回復費用の負担範囲を明確にするために作成された指針です。正式名称は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で、経年劣化や通常損耗など、借主が払わなくてよい費用の基準が示されています。

法律ではありませんが、全国の裁判や消費生活センター、不動産会社でのトラブル解決時に重要な根拠として扱われます。初めて賃貸を借りる人や引っ越しを検討している人にとっても、この内容は参考になります。ガイドラインを理解しておけば、請求額が妥当かどうかを実際に判断でき、不当な負担を避ける助けになります。

ガイドラインの目的と位置づけ

国土交通省ガイドラインの目的は、賃貸借契約における退去費用をめぐるトラブルを減らし、貸主側と借主側が納得できる形で原状回復を行うことです。

賃貸住宅では、退去の際に壁や床、設備の修繕やハウスクリーニングといった費用が発生しますが、その負担範囲や金額は物件や管理状況によって異なります。これまでの裁判例や消費者相談の事例では、請求額に大きな差が出るケースも少なくありません。ガイドラインはこうした不明確な部分を整理し、経年劣化や通常損耗は原則として貸主負担とするなどの基準を定めています。

法的拘束力はありませんが、交渉や調停、訴訟の場面で標準ルールとして広く活用されています。

経年劣化・通常損耗の判断基準

ガイドラインでは、経年劣化と通常損耗の区別が重要です。経年劣化とは、入居者が普通に生活している中で時間の経過によって自然に発生する劣化を指します。

例えば、日焼けによる壁紙の変色やフローリングの光沢減少、畳の色あせなどです。一方、通常損耗は家具の設置跡や生活動線による床のすり減り、浴室や風呂場の水垢、網戸のゆるみなど、避けられない使用によるものを指します。これらは故意や過失による破損や毀損ではないため、借主負担にはなりません。判断基準を知っておくと、立ち会い時や請求時に「これは払う必要がない」と明確に主張できます。

借主が負担しなくてよいとされる代表的な事例

ガイドラインでは、借主が負担しなくてよい具体例を明示しています。代表的なのは、日焼けや照明熱による壁紙や襖の変色、家具や冷蔵庫の設置跡、畳やカーペットの経年によるへたりやシミ、網戸や窓枠の色あせなどです。

また、エアコン内部の通常清掃やフィルター交換、浴室やトイレの黒ずみや水垢も通常使用の範囲とされます。これらは経年劣化や通常損耗に該当し、本来は貸主側の負担です。実際に高額な請求を受けた場合でも、このような事例を根拠にすれば交渉が有利になります。次の退去や引っ越し時に備えて、こうした知識を持っておくことが大切です。

払わなくていい退去費用の具体例【ガイドライン準拠】

退去費用の中には、国土交通省ガイドラインで「借主が負担しなくてよい」と明記されている項目があります。これらは経年劣化や通常損耗に該当し、生活の中で避けられない傷や汚れが中心です。

壁紙の変色や床のすり減り、設備の自然故障などは貸主側の負担となるため、本来は請求されるべきではありません。これらの基準を理解しておけば、賃貸住宅やアパート、マンションを退去する際に不要な費用を支払わずに済みます。実際、消費生活センターや不動産会社への相談事例でも、こうした項目の誤った請求が原因のトラブルが多く報告されています。ここでは代表的な「払わなくていい」項目を具体的に解説します。

壁紙・クロスの変色や軽微な傷

日焼けや照明熱による壁紙やクロスの変色は、経年劣化として扱われます。家具やポスターを貼った跡、生活中に避けられない軽微な擦り傷や黒ずみも同様です。これらは通常損耗にあたり、借主の過失や故意による破損・毀損ではないため、退去費用として請求するのはガイドライン上妥当ではありません。

例えば、3〜5年住んだ部屋でクロスが部分的に色あせるのは自然な変化です。契約書に特別な特約がない限り、貸主負担とされます。請求された場合は、写真などの証拠を添えて説明しましょう。

床・フローリング・畳の通常損耗や表替え

床やフローリングの光沢減少、小さな擦り傷、畳の色あせやへたりは生活上避けられない損耗です。畳の表替えやフローリングのワックス掛けも、経年による消耗とみなされるのが原則です。

日常的な歩行や家具の移動によるへこみ、キズはガイドラインでも借主負担にならないとされています。中には「次の入居者のため」という理由で高額なリフォーム費を請求されることがありますが、実際には経年劣化であれば負担義務はありません。請求額が妥当か、必ず相場や項目の内訳を確認しましょう。

家具・家電・設備の経年劣化や自然故障

長年使用された家具や家電、設備が自然に故障するのは避けられないことです。冷蔵庫や洗濯機のモーター不良、照明や電気機器の寿命、給湯器の劣化などは借主の責任ではありません。これらは通常使用で起きる現象で、修理や交換は貸主側が負担します。契約期間中に故障があった場合も、借主に過失がなければ無償対応が原則です。請求されたら、使用年数やメーカー推奨寿命を参考にし、経年劣化であることを説明すると効果的です。

エアコン内部クリーニングやフィルター交換

エアコン内部のクリーニングやフィルター交換は、日常使用による汚れであり通常損耗に分類されます。ガイドラインでは、これらの費用は貸主が負担すべきとされています。入居者が定期的にフィルター掃除をしていた場合、内部汚れは経年によるものであり、退去時の負担義務はありません。中には、ハウスクリーニング一式の名目で高額請求されるケースもあるため、作業内容と金額の明細を必ず確認しましょう。証拠写真や掃除記録があると、請求を減額できる可能性が高まります。

冷蔵庫や家具設置による跡や軽微なへこみ

冷蔵庫や大型家具を置いた際にできる床や壁の設置跡、軽いへこみは、通常損耗の範囲内です。例えば冷蔵庫の背面熱による壁の変色、棚やソファの脚による床の軽いへこみは避けられないものです。こうした使用痕は借主負担にはなりません。請求があった場合は、「自然な生活痕」であることを根拠に説明し、不当な支払いを避けましょう。

浴槽・トイレなど水回りの経年汚れやカビ(通常使用範囲)

浴槽やトイレ、洗面台、風呂場などの水回りに発生する水垢やカビ、シミは日常使用で避けられない汚れです。換気していても湿気の多い環境では、多少の変色や黒ずみは発生します。ガイドラインではこれらを通常損耗として扱い、借主負担にはなりません。

ただし、長期間放置して汚損が悪化した場合は過失とみなされる可能性があるため、引っ越し前には軽く清掃しておくことがおすすめです。請求があった際には、日常的な使用で発生した範囲内であることを証明できれば負担を避けられます。

支払う必要があるケースとその理由

退去費用の中には、借主が必ず負担しなければならないケースも存在します。国土交通省ガイドラインでは、経年劣化や通常損耗は貸主負担とされていますが、故意や過失による損傷、日常的な清掃や管理を怠ったことによる汚損、または特約によって明記された負担などは例外です。これらは借主の行為や管理不足が直接の原因となるため、修繕やハウスクリーニングの費用が請求されても支払い義務があります。実際、不動産会社や管理会社が作成する明細書には、こうした過失や特約に基づく項目が多く含まれることがあります。

ここでは、具体的にどのような場合に費用が発生し、金額がどの程度になる可能性があるのかを解説します。

故意・過失による傷や汚損(穴・落書き・タバコのヤニ等)

借主が故意または過失でつけた傷や汚損は、退去費用の中でも必ず負担する必要があります。壁に開けた大きな穴や画鋲・ビス・ネジの過剰な使用、子どもの落書き、テレビや家具の移動による破損、喫煙による壁紙のヤニ汚れや変色などが代表例です。

これらは経年劣化ではなく、借主の行為が原因で生じた毀損のため、修繕費用の請求は妥当です。特にタバコのヤニは臭いや変色が広範囲に及び、壁紙全面の張り替えや下地補修が必要になる場合もあり、請求額が高額になる傾向があります。

ペットによる損傷や臭いの除去

ペットを飼育していた場合、爪によるフローリングの傷、壁紙や襖の破れ、臭いの付着などは借主負担になります。特に臭いは床下や壁内部、機器やカーペットにまで染み込むことがあり、消臭作業や部材交換、場合によってはリフォームが必要になることもあります。ガイドラインでもペットによる損傷や汚損は通常損耗とは区別され、貸主側の負担とはなりません。ペット可物件であってもこのルールは変わらないため、退去前に専門業者へ依頼し、見積額や作業内容を確認しておくと請求額を安く抑えられる可能性があります。

放置によるカビ・腐食・油汚れの蓄積

日常的な掃除や換気を怠った結果発生するカビ、腐食、油汚れは借主の過失として扱われます。例えば、長期間放置された換気扇の油汚れ、結露や水漏れを放置したことで発生したカビや腐食、浴室や風呂場の黒カビの深刻化、台所シンク下の腐食などが該当します。

これらは適切な管理を行っていれば防げた損傷と判断されるため、修繕や清掃費用を請求されても支払い義務があります。特に油汚れや腐食は、部材交換や専門清掃サービスが必要になり、請求額が相場より高くなることもあります。

ガイドライン外となる特約条項の注意点

賃貸借契約書には、ガイドラインの基準を超えて借主負担を広げる特約が設定されていることがあります。例えば「退去時には壁紙を全面張り替える費用を借主負担とする」や「エアコンのクリーニング費用は必ず入居者が負担する」といった内容です。

これらの特約は、契約時に借主が同意していれば有効とされるケースがあります。そのため、契約書や賃貸借契約書を事前によく確認し、納得できない場合は契約前に交渉することが大切です。契約書の記載を軽視すると、引っ越し時に高額請求を受ける可能性があるため、特約内容は事前に理解しておく必要があります。

退去費用を減らすための事前対策

退去費用は、事前の準備と日常的な管理によって大きく抑えることが可能です。賃貸住宅やアパート・マンションでは、入居時の状態や契約内容、日々の使い方が退去時の負担額に直結します。国土交通省ガイドラインの基準を理解していても、証拠や記録がなければ借主側に不利な判断をされるケースもあります。入居時の室内記録、契約時の条件確認、定期的な清掃や設備の正しい使い方、修繕の早期対応など、日常的に意識すべきポイントを押さえることで、請求額を安く抑えられます。

ここでは、実際に効果的だった事例も交えて具体的な対策を解説します。

入居時の室内状態を写真・動画で記録する

入居時の室内状態を写真や動画で残すことは、退去費用を減らすうえで非常に有効です。壁や床の傷、設備の劣化、クロスや襖の色あせ、網戸や窓の小さな損耗など、最初からあった状態を証明できれば、退去時に借主の責任とされるリスクを減らせます。撮影の際は日付入りに設定し、ファイル名にも記録日を入れて保存しておくと便利です。必要に応じて管理会社や不動産会社に送付しておくと、後々のトラブル防止に役立ちます。特に高額になりやすいフローリングや浴室、キッチン設備は重点的に記録しておきましょう。

契約時に特約や原状回復条件を確認する

賃貸借契約書や特約条項には、原状回復の条件や借主負担の範囲が明記されています。契約前に「退去時のハウスクリーニング費用は必ず借主負担」「壁紙は全面張り替え」「エアコン清掃を必須とする」などの特約がないか確認しましょう。

不明点は契約前に質問し、必要に応じて交渉することが重要です。ガイドラインよりも借主負担が広く設定されているケースもあり、そのまま契約すると引っ越し時に高額な請求を受けることになります。特約や契約条項は専門的な言い回しも多いため、疑問があれば専門家や消費生活センターへ相談するのも一案です。

定期的な清掃と適切な設備の使い方

日常的な清掃と正しい設備の使い方は、退去時の負担を減らす基本中の基本です。例えば、キッチンの油汚れを放置せずに定期的に掃除する、浴室や風呂場の黒ずみやカビを早めに除去する、フローリングには傷防止マットを敷く、家具やテレビの下には保護シートを敷くなどの工夫が有効です。エアコンや換気扇のフィルター清掃、網戸の目詰まり防止なども重要です。こうした日々の積み重ねは、経年劣化と過失による損傷の境界を明確にし、不当な請求を避けるための大きな武器になります。

修繕が必要になった際の早期連絡と対応

設備の故障や一部の損傷を発見したら、できるだけ早く管理会社や貸主に連絡しましょう。早期対応により修繕が軽微で済み、費用が貸主負担になる可能性が高まります。

例えば、給湯器や電気設備の不調、水漏れ、網戸や窓枠の破損などは、放置すれば被害が拡大し、高額な修理費を請求される恐れがあります。発見時には写真や動画を撮影し、連絡内容を記録として残すことが重要です。早めの依頼と対応が、結果的に退去費用を安く抑える最大のポイントになります。

退去立ち会い時のチェックポイント

賃貸物件を退去する際、多くの場合は管理会社や大家さんが立ち会い、部屋の状態を確認します。この立ち会いは、退去費用の請求額や負担範囲を決める非常に重要な場面です。流れを理解し、請求内容が妥当かを確認できれば、不当な支払いを防げます。特にアパートやマンションでは、原状回復の範囲をめぐるトラブルが少なくありません。請求額が相場より高い場合や納得できない場合は、その場で交渉するか、後日の見直しを求めることも可能です。

ここでは、立ち会いの進行、内訳確認の方法、不当請求への対応や交渉術を具体的に解説します。

管理会社・大家さんとの立ち会いの流れ

退去立ち会いは、入居者が荷物をすべて搬出し、部屋を空にした状態で行われます。管理会社や大家さんが壁や床、襖や網戸、窓枠、電気設備などを点検し、破損や毀損がないか確認します。必要に応じて写真や動画が撮影され、後日の証拠として残されます。

借主側はその場で指摘箇所を一緒に確認し、不明点や疑問があれば即座に質問することが重要です。修繕範囲や金額が後から膨らむのを防ぐため、説明内容はメモや録音で残し、可能であれば同席者を連れて立ち会うと安心です。

請求額や内訳が妥当かを確認する方法

立ち会い後に提示される見積書や内訳は、金額の妥当性を必ず確認しましょう。国土交通省ガイドラインや市場の相場を参考に、経年劣化や通常損耗に該当する項目が含まれていないかをチェックします。

例えば、相場より高いハウスクリーニング費や、不要なリフォーム費用が含まれていないかも重要な確認ポイントです。疑問があれば、修繕範囲の写真、作業内容、単価の根拠を求めます。場合によっては他社の見積もりと比較したり、不動産会社や消費生活センターに相談して判断材料を増やすのも有効です。

不当な請求を受けた際の話し合い・交渉術

請求額が明らかに高額、またはガイドラインと異なる場合は、冷静な話し合いが必要です。

まずは賃貸借契約書や特約を確認し、負担範囲の相違点を具体的に指摘します。入居時の写真や動画、使用状況の記録、依頼した修繕・清掃の領収書などがあれば提示し、過失や故意でないことを明確に伝えましょう。その場で即決せず、「持ち帰って検討したい」と伝えることで、感情的な対立を避けられます。

また、相手の説明を一通り聞いたうえで、根拠と数字をもとに冷静に反論することが、交渉を有利に進めるカギとなります。

トラブル時の相談先と解決方法

退去費用の請求に納得できない場合や、不当な金額を提示された場合は、できるだけ早く第三者機関へ相談することが重要です。賃貸住宅やアパート、マンションの原状回復をめぐるトラブルは、入居者と貸主の主張が食い違いやすく、話し合いだけでは解決が難しいケースも少なくありません。国土交通省ガイドラインや賃貸借契約書、特約条項を確認しつつ、消費生活センターや弁護士などの専門機関に相談すれば、適正な判断や有効な対処法を得られます。

ここでは、主な相談先や解決手段、そして高額請求に直面したときの具体的な対応策を紹介します。

消費生活センターや弁護士への相談

退去費用トラブルでまず利用したいのが、各自治体に設置されている消費生活センターです。無料で相談でき、ガイドラインや過去の判例、他の賃貸住宅での事例を参考に助言が受けられます。電話・メール・対面など複数の相談方法があり、場合によっては貸主や不動産会社への連絡や調整を代行してくれることもあります。

また、金額が高額で長期化しそうな場合は、弁護士への依頼を検討します。弁護士は契約内容や請求項目の妥当性を法的に精査し、必要に応じて交渉や訴訟の代理、証拠収集のサポートも行います。相談時には請求書や写真などの資料を持参するとスムーズです。

裁判や調停を行う場合の流れ

話し合いや相談機関での解決が難しい場合は、裁判や調停を利用する選択肢があります。簡易裁判所の少額訴訟制度は、60万円以下の請求に対応し、原則1回の審理で判決が出るため比較的迅速です。より複雑な案件や金額の大きい請求は、地方裁判所での通常訴訟や家庭裁判所での調停が利用されます。調停では裁判官や調停委員が間に入り、双方の合意形成を目指します。

いずれの場合も、契約書、ガイドライン、入居時と退去時の写真や動画、破損や毀損の記録、見積もりや領収書などを揃えることが、解決への近道になります。

高額請求への具体的な対処法

請求額が相場を大きく上回っている場合や、経年劣化・通常損耗に該当する部分まで含まれている場合は、まず内容証明郵便で異議を申し立てましょう。文面には、ガイドラインや契約書の記載と照らし合わせ、どの部分が不当であるのかを明確にします。加えて、複数の業者から見積もりを取り、適正額と比較することで交渉材料を増やせます。

例えば、ハウスクリーニングやリフォーム費用が過大に計上されている場合、他社の相場を示すと有効です。強硬な態度よりも、数字と根拠を用いた冷静な説明が、最終的に円満解決につながります。

まとめ|ガイドラインを理解して納得のいく退去を

退去費用は、賃貸借契約書や特約条項、そして国土交通省ガイドラインの基準によって負担範囲が決まります。経年劣化や通常損耗は原則として借主負担にはなりませんが、故意や過失による破損・汚損、特約で定められた追加負担は例外です。事前に払わなくていいものを把握し、室内の状態を写真や動画で記録しておくこと、契約内容をしっかり確認することが重要です。

また、相場より高い請求や不要なリフォーム・ハウスクリーニング費が含まれていないかを精査し、必要に応じて交渉や第三者機関への相談を行えば、アパートやマンション退去時の不安を大きく減らせます。最後に、円満で安心な退去を実現するための要点を整理します。

払わなくていいものを把握し事前対策を取る

退去費用を抑える第一歩は、払わなくていい項目を正しく理解することです。壁紙の変色やフローリングの軽いすり減り、設備の経年劣化、網戸や窓枠の自然な傷みなどは、ガイドライン上は貸主負担です。

入居時に室内や設備の状態を記録し、契約書や特約の内容を確認すれば、請求額が妥当かどうか判断しやすくなります。さらに、日常的な清掃や設備の適切な使い方、必要な修繕を早めに依頼するなどの習慣が、過失による毀損や高額な修繕費を防ぎます。こうした事前対策が、引っ越し時の余計な支払いを避ける最大のカギです。

状況に応じた交渉・証拠の準備でトラブルを防ぐ

請求内容に納得できない場合は、入居時の写真・動画、契約書、ガイドラインを根拠として冷静に交渉することが大切です。

高額請求や相場を超えるハウスクリーニング費、不要なリフォーム項目が含まれている場合でも、感情的にならずに具体的な金額差や相場比較を提示すると説得力が増します。話し合いで解決できない場合は、消費生活センターや弁護士などの第三者機関に相談し、必要なら裁判や調停も視野に入れましょう。根拠を持った冷静な対応は、不必要な費用を避け、納得できる形で退去を終えるための最も効果的な方法です。


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